55歳からのハローライフ 村上龍
第1話から お話を続けていきたい。定年退職 次の仕事が見つからない。そして、なんだか、自分が壊れた人間のように感じ始める。「役立たず」という言葉が、繰り返し頭の中で、鳴り響く。。 心の病。経済的な問題。。そして 多くは、熟年離婚へ ころがり落ちてゆく。
では、ボランティアでも という甘い考え。会社人間として生きてきたスキルは、効率的に非人間的な生きる為の技術。それを、否定するつもりはない。
が。しかし 家族や友人関係 地域社会の人間関係には、。。。
ここで最も 怖いことは、会社に貢献してきた自負。役に立つ人間としてのプライド。。
それら 今まで自分を支えてきた考え方。生き方を 変えられないし、それが、自分を苦しめる。という事実。
さてさて、一方 女性は、生活力 料理・洗濯。そうじ。などなど 暮らしのスキルをもっておられる。経済的な問題がクリアになるのなら、落ちぶれた男性より強いし、生きてゆく力もあるのかもしれない。
もはや。何かが違ってきている。
では、すこし 「55歳からのハローワーク」から 引用させていただく。
「夫は、向かいのベンチの女にまったく注意を払わない。小学校の横断歩道で安全員をやり、児童の登下校に付き添っているらしい。だが、赤ん坊を抱き、寒さに震えている女にはまったく気づく様子がない。 (中略)」
これを読むだけで 溜息がでるが、先へ進むことにする。
「 確かに人生はやり直せるかも知れない。とくに、絶望や失意のあとでは、やり直せるはずだと思わないと生きていけないだろう。
だが、他に生き方を見つけるということで、単純に元に戻ればいいというわけではない。そして、人生はやり直しがきかないと思っている人のほうが、瞬間瞬間を大切に生きることができるような気がする。」
とても感銘を受けた言葉であったが、主人公は、この後決心する。
一人で生きていこう。中米志津子はそう決めた。(中略)
お金や健康など、不安はある。不安だらけと言ってもいい。だが、人生でもっとも恐ろしいのは、後悔とともに生きることだ。孤独ではない。夫と別れたあとに、向かいのベンチの女に声をかけてみよう。」 p69-70
あえて言わせていただく 「仕事をなくした」だけなのだと
「そんな簡単なことじゃないだろ。」 御叱りは、もっともである。
とりあえず 仕事を論議の対象から、はずしてみる。
前述した主人公の言葉を、もう一度使わせていただくなら、
単純に元に戻ればいいというわけではない。
あなたは、単に 仕事の問題なのだと。。仕事さえ手に入れれば
今まで通りなのだと。。
が。。人生の歯車は、回ってしまったのである。
もはや。仕事の問題ではなくなっているのである。
怖すぎて、これ以上は、続けられないので、本日はこれまで。。